症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害、認知症等)


障害認定基準

症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)とは、先天異常、頭部外傷、 変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものとされ、高次脳機能障害や認知症が含まれます。なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害(以 下「精神作用物質使用による精神障害」という。)についてもこの項に含まれます。 また、症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定するとされています。その他の留意点は以下になります。

・脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定する。

・精神作用物質使用による精神障害について

 アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とならない。

 精神作用物質使用による精神障害は、その原因に留意し、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。

・高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となる。その障害の主な症状としては、失語、失行、失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがある。 なお、障害の状態は、代償機能やリハビリテーションにより好転も見られることから療養及び症状の経過を十分考慮する。 また、失語の障害については、「音声又は言語機能の障害」の認定要領により認定する。

 

具体的な認定要領は別途ガイドラインや診断書記載要領にて規定されています。

 

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

 

診断書記載要領

B.pdf (nenkin.go.jp)

症状性を含む器質性精神障害の認定基準

障害等級の目安

精神疾患は他の病気と異なり、検査データによる診断が難しいため、数値などの基準がありません。認定基準では、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するとされています。

一方で、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に、「障害等級の目安」が記載されており、精神疾患の障害等級の決定において大変重要な指標となっています。具体的には、診断書に記載される「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」により、等級目安が決まる仕組みになっています。

例えば、「日常生活能力の判定」が1.8、「日常生活能力の程度」が(3)の場合、「3級」に認定される可能性があると判断できます。

※この項目だけで決まるわけではありませんが、障害等級決定の最も重要な項目になります。

『日常生活能力の程度』 および 『日常生活能力の判定』 は文字通り日常生活能力を示し、その基準は診断書記載要領に細かく記載されています。

診断書作成依頼の際には、日常生活の困り事を正しく先生にお伝えすることが大変重要になります。

 

障害等級決定の目安(精神の障害に係る等級判定ガイドライン)
障害等級の目安
精神の障害用診断書裏面
診断書(精神の障害用)

「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」

「日常生活能力の程度」の(1)~(5)の程度は、診断書記載要領に図のように記載されています。

「日常生活能力の判定」は、「(1)適切な食事」から「(7)社会性」の7つの項目それぞれに1点~4点の点数をつけ、その平均点から算出されます。

「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の基準の詳細は診断書記載要領に記載されています。

また、重要なポイントは、家族と同居している場合は、単身でかつ支援がない状況で生活した場合を想定して判断する点です。

 

「日常生活における困り事」を詳細に医師にお伝えしておかないと、実際の状態が診断書に反映されない可能性もあります。

 

当事務所では、実際の状態が診断書に正しく記載いただけるよう、診断書作成依頼の際に、「日常生活の困り事まとめ」を作成して医師に提出させて頂いております。

 

なお、治療のためにも、日々の受診で、困り事はしっかりと医師にお伝えしておくことをおすすめします。

日常生活能力の程度
日常生活能力の判定