パートやアルバイトを含め、すべての労働者は労災保険の対象であり、業務中のケガや通勤時の交通事故などの際には、労災保険により補償が受けられます。しかし、役員は原則として労働者ではないため、労災保険の対象外になっています。
しかしながら、特に通勤時の交通事故については、役員も従業員と同様に当事者になってしまうリスクがあります。
交通事故の際は、労災保険を使わなくても、自賠責保険と任意保険(損害保険)による補償は受けられます。
問題となるのは、役員側の事故の責任割合が0ではないケースです。自賠責保険や任意保険の場合、事故の責任割合に応じて、療養費や休業補償費が減額されてしまう場合があります。
一方、労災保険の場合は、責任割合によらず、療養費等は全額が補償されます。
それに対応して、労災保険には「労災特別加入制度」が設けられています。
これは一定の要件を満たす中小企業の事業主、役員等が、労災保険に加入できる国の制度です。
主な加入用件は、以下の3つです。
①中小企業であること
②雇用する労働者について、労働保険の保険関係が成立していること
③労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
労働保険事務組合は、国から認可を受け、労働保険の事務処理を行う団体で、
例えば、社会保険労務士会が設けたSRセンターという労働保険事務組合が各県にあります。
この機に、労災特別加入制度への加入をご検討されてはいかがでしょうか。